post

コラボ

創生座稽古風景二十一鎖目

以前は能楽師が他のジャンルと共演することは、タブーとされていたが、

最近は規制緩和と言うか、自由化と言うか、他ジャンルの芸術との共演が許される時代になった。

僕は、縁あって、このいわゆるコラボレーションを行う団体の京都創生座に参加している。

創生座は、能、狂言、長唄、地唄をごちゃまぜにして、新しい古典を生み出そうという試みている。

先日、公演があり「まるで昔からある曲を演奏しているみたいなので、どこが新しいのかわからない。」との評価をいただいた。

いいのか悪いのか…

まあ良いことにしよう。

創生座の活動も10年近くなりお互いに違いや共通点などがわかってきたので、今では問題なく演奏できるのだが、当初は全く合わず大変苦労した。

驚いたのは、長唄の囃子である。

長唄囃子は能楽囃子をベースに作られているので、手付(楽譜)はほぼ同じだ。

だが、ディスカッションをしていると、お互い話が合わず、どうもおかしいと思っていたら、

なんと、基本となる拍の始まりが違うのだ。

長唄の1拍目は能楽の2拍目になる。

このことに気付くのにかなりの時間を要した。

大鼓主体なのか、小鼓主体なのかで、基準となる拍が違うようだ。

他にも、作法、音楽的価値観の違いなどを、どう折り合わせるかに苦心している。

ただ、コラボをすると必ず感じることは、理論、価値観、表現法など決定的に違うところがあっても、音楽であるということは共通しており、

感性さえ共有すれば、どんなジャンルとでも芸ができるということだ。

これからも能楽で培った感性、技術で新たな挑戦に取り組みたいと思う。