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三七鎖目

打音シリーズ第2弾である。

石井流の打ち方の一つに「ツ」という音がある。

当家につたわる手附には、

「鼓の皮より約五寸位の距離を取りて薬指(又は中指及薬指の二本にて)

十六輪の内側を単に皮に触るる程度にて響かぬ様軽く押さへる如くに打つなり

要するに間を取る事の一手段に過ぎざるなり」

とある。

聞かせる音ではないので、打つ動作が見えても見所には聞こえない。

打ちそこないに見えるかもしれないが、敢えてそういう打ち方をしているのだ。

ツの打ち方により次の間が大きく変わる。聞こえないが重要な音である。