十四鎖目
調べ緒について書こう。
“調べ緒”は単に”調べ”ともいう。
大鼓は、表皮と裏皮をつなぐ”調べ”と、二重の輪にしてかけるだけの”化粧調べ”の二本をつかう。
麻製でオレンジ色をしており、近年はナイロン製のものもある。
麻とナイロン、それぞれに長短がある。
麻はしっかり締まるが切れることがあり、ナイロンは切れないけれども伸びるので緩みやすい。
井上靖の小説「氷壁」にナイロン製ザイルは切れず、麻製のザイルは切れるという話があるが、調べ緒にも同じことが言える。
僕は、切れるリスクはあるが、しっかりと締まる麻製を好んで使っている。
ただ、麻も最初のうちは伸びるので、使う前に重石をかけてあらかじめ伸ばしておく。
うちでは物干し竿に調べ緒をひっかけ、ダンベルをのせて伸ばしている。
余談だが、この間近所の人に「あれは何ですか?」と尋ねられ、説明するのに難儀した。