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胴"茗荷"内胴"茗荷"十三鎖目

道具の中で最も高価なパーツが胴である。

サクラ材を刳り貫き、漆をかけて蒔絵が描かれてあり、とても美しく工芸品としての価値もある。

蒔絵の図案には、音にまつわる謎かけが仕込まれていることもある。

内部には様々なカンナ目が施してあり、そこから作者が推量されるという。

能楽の舞台で使用されているのは、江戸時代もしくはそれ以前に作られたものばかりだ。

百年前(明治時代)に作られたものは新胴と呼んでいる。

したがって能を見来たお客さんは、何百年も前に作られた楽器の音を聞くことになる。

胴の面白いところは、同じ皮にかけても、一本一本微妙に違う調子(音)が鳴り、それぞれに個性があるところだ。

胴が調子(音)に占める割合は、せいぜい10%程度だろうが、この部分は胴にしか出せないものであり、それが調子全体の個性を作り出す。

 

写真は「茗荷」の胴。

調子よく、音のなびきも長く、皮を選ばないオールマイティで、僕の第一のお気に入りである。

謎解き・・・茗荷は、根から直接花が咲くことから、根=音で「音に花が咲く」