六鎖目
皮について書こう。
大鼓の皮は、直径約23cmの鉄の輪に馬の皮を張り麻糸で縫い合わせたシンプルなつくりで、とても固い。
刃物を突き刺さそうとしても跳ね返されるほどである。
外側の細かい縫い目を千綴(せんとじ)、中の縫い目を十六(じゅうろく)という。
大鼓独特の高い音を出すためには、演奏前に皮を乾燥させる必要があり、炭火で1~2時間ほど焙じてから使う。
大変消耗が激しく、舞台で使用できるのはわずか10回程度だ。
演奏者により違うようだが、僕は皮を購入したあと3年ほど陰乾ししてから使う。
作っている地域により、皮をなめす際に冷水にさらす場合(奈良)と、糠につける(東京)製法の違いがあり、僕は冷水さらしの奈良皮を好んで使っている。