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クサリ

五鎖目

もうお気づきのことと思うが、当コラムの冒頭には「〇鎖目」と入れている。

どういう意味か不思議に思われた方もいるだろう。

「鎖」とは、西洋音楽でいうところの小節のことである。

1小節は一鎖、4小節は四鎖という具合である。

能楽囃子に関するコラムらしくしようと思い、かようなナンバリングを打った次第である。

能楽は一鎖八拍を基本としているが、謡の文字数によって一鎖が二拍・四拍・六拍と変化することがよくある。

しかも、変化した後すぐに八拍に戻ることもあれば、立て続けに四拍、四拍、八拍、二拍など複雑に変化することもある。

これを覚えるのは中々大変なのだが、謡の七五調の言葉が字余り・字足らずになったり、同じリズムが単調に続かないようにわざと変化をつけたりするためなので、大変重要な要素なのだ。

ちなみに八拍を本地、二拍はオクリ、四拍はトリ、六拍を片地と呼ぶ。(他にも四ツ地、短ノ間といった特殊な鎖も存在する。)

大小様々な鎖がつながることで、ノリ(曲調)や抑揚ができるように、「言無記」の鎖をつなげていきたい。

さて今日の「言無記 五鎖目」はいずれであろうか。