十五鎖目
はじめてお稽古された方や体験に来られた方は、たいてい「大鼓をたたく」と言う。
だが、大鼓などの能楽で使う打楽器は「打つ」のである。
「たたく」と言うと、何というか表面をパシャパシャとたたくような語感だが、
「打つ」は芯までパシッと打つ感じが伝わると思う。
これは、打撃するべき焦点が明確にあり、そこに意識を集中して、強くhitすることを意味しているのだ。
そして我々は、単に大鼓の音を出すことだけでなく、演奏すること自体を「打つ」と言う。
つまり「打つ」とは、打撃のみならず、カケ声や間にも意識を集中し、焦点を明確にして強く打つことなのだ。