四十二鎖目
次第とくれば一声(いっせい)であろう。
最もポピュラーな出囃子で、次第が空間の移動を表すのに対し、
時間経過や場面転換を表す。
また、次第で登場するのは生きている人間だが、一声は幽霊、人間、化け物と何でもありだ。
一声には様々なタイプがあり、
本越、半越、片越、不越、葛越、狂女越、頭越など、曲によりどのタイプの一声を打つかが決まっている。
演能の際には、省略形の一段や無段でされることが多い。
ちなみに京都では、一段を二ノ句、無段をツッカケという。
どの寸法の一声にするかは、シテ(登場人物)が決め、囃子方は本番直前に寸法を伺う。
一声を打つ上で大切なのは、誰がどういう状態でどうやって登場するのかを考慮して、ノリを作ることだ。
闇夜なのか月夜なのか、ボーッと現れるのか、船に乗って現れるのかなどなど。
とても奥深い出囃子で、一声の囃子で状況が設定され、曲調が決まる。
とても重要な出囃子である。