三六鎖目
皮の修理作業を紹介しよう。
大鼓の皮はしばしば締めている最中や、演奏中に千綴、十六綴の糸が切れることがある。
皆様も舞台からパシっとかピキっと言う音を聴いたことがないだろうか。
あの音は大鼓の皮の縫い目が切れる音なのだ。
縫い目が切れると、皮が緩んでしまい良い音が出なくなるので、修理をしなければならない。
まず切れた糸を皮から取り除き、また新たな糸で縫い直す。
僕は、ロウ引きしたナイロン製の糸を4本束ねてヨリをかけたものを使っている。
糸が切れる原因は、皮の表面の穴と裏側の穴の位置が収縮を繰り返すことで段々ずれるためだ。
穴の位置がずれているので、糸を抜くのも、縫い直すのも骨が折れる。
寸暇を見つけては、内職をする。
大鼓方の仕事は多岐にわたる。